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<来年4月1日から、高齢者の医療制度はどのように変わるのか>
2008年3月31日で老人保健法が廃止され、後期高齢者医療制度が施行
されます。すべての後期高齢者(75歳以上)の医療はこの制度に基づいて行
われることになりますが、この制度には以下に見るように大きな問題点がはら
んでいます。「史上最悪の医療制度」という人もいる程です。詳細はまだ決まっていないところもありますが、ほぼ全容がはっきりしてきました。
1 保険料
年金が月額1万5000円以上の人は、全員が年金から天引きで徴収されます。
1万5000円以下の人(約20%)は自分で払います。保険料の額は各府県により異なり、老人医療費が高い府県や所得が多い府県では高くなります。
厚労省は当初、平均的所得の人は月額6200円、年額7万4400円と発表しましたが、公表された算定式によればとてもそれどころではなく、大阪府は9~11万円になります。(ちなみに埼玉県は9万4000円、東京都はなんと倍以上の15万5000円にもなる。)
しかも、これは医療費だけで、健診費や葬祭費が加わるともっと高くなりま
す。介護保険料とあわせれば大変な負担です。
もし、滞納すればどうなるでしょうか。1年間滞納すれば保険証を取り上げ
られて資格証明証に切り替えられ、いったん全額自費払いになります。1年半
滞納すれば給付が一時差し止められます。
なお、65才~74才の前期高齢者だけで構成する国保世帯も年金から保険
料が天引きされるようになります。
2 自己負担
一般の人は1割負担ですが、所得が2人世帯で年520万円、単身者で38
3万円以上の人は3割負担になります。(この3割負担は06年10月から実施
されている)なお、70~74才の人は1割から2割に上がります。
3 診療報酬
保険で受けられる医療はすべて診療報酬が定められ、それにより費用が支払
われる仕組みになっています。現在は老人も一般の人もほぼ同じ内容ですが、
新しい制度では後期高齢泰は別建ての診療報酬になります。詳細は未定ですが、
泰議会に出されている厚労省の泰では、
①入院も外来も定額制を導入する
②できるだけ入院せずに、在宅療養をさせる
③かかりつけ医以外への受診を制限する
④終末期医療は本人の同意があれば打ち切ってもよく、できるだ
け在宅で看取るようにする 等となっています。
この方針の元になっているのが厚労省の「後期高齢者の心身の特性について」というメモで、ここには後期高齢者の心身の特性として、
① 複数の慢性疾患を持っている
② 認知症がみられる
③いずれ避けることができない死を迎える の3点をあげ、別建てにし
て上記の内容を盛り込む根拠にしています。後期高齢者をこのように規定して、
できるだけお金をかけないようにすることは、高齢者に対する差別ではないで
しょうか。
また、後期高齢者用だけでなく一般の人の診療報酬についても同時に改訂が
審議されています。たとえば、リハビリに対して昨年、最高6ケ月までという
制限がつけられましたが、来年からはその上に「成果主義」を取り入れて一段
と制限するように改悪する案や、先発品から後発品(ジェネリック)への変更
を医師の承諾なしで行えるようにするなどの案が出されています。
4 健診
老人保健法の廃止により、来年4月から市民健診も廃止され、特定健診・保
健指導というものに変わります。これにより検査の項目が大幅に減らされます。
貧血や腎機能検査、心電図もなくなり、代わりに腹囲測定が最初に行われます。
これはメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を発見して糖尿病を減ら
し、医療費を抑制しようというもので、「病気の早期発見・早期治療」という本
来の健診ではなくなります。これが保険者(国保であれば高槻市)に義務づけ
られ、5年後に成果が上がらなければペナルティが課せられます。しかし、こ
のような「健診」ですら、後期高齢者医療には義務づけられていません。後期
高齢者については、健診など「どうでもいい」と言うことです。これも明白な
差別です。
5 広域連合
この旅次の運営は都道府県単位の広域連合が行います。市町村は保険料の徴
収と窓口業務をおこなうだけです。広域連合は特別地方自治体ですから、議会
があり議員もいることになっていますが、議員の数は府全体でたったの20名
です。(大阪府より人口の少ない京都府30名、滋賀県26名、奈良県20名、
兵庫県41名、和歌山県31名) 高槻市からは一人も出ていません。議会は
年2回で、発言の回数は1議会で3回まで、傍聴は30名までとされました。
これでは議会とは名ばかりで、上意下達の承認儀式にすぎません。市民・府民
の声は全く反映されません。地方自治の否定です。次の大阪府広域連合の議会
は11月22日に開かれる予定で、保険料などが決められます。
付 介護保険制度の改悪について
医療費とともに介護の費用をへらすことも政府にとっては急務です。そのた
め、昨年、介護保険法を改悪し、要介護度の軽い人にはヘルパーやデイサービ
ス、車いす、電動ベッドなどの利用を大幅に制限しました。また、介護保険の
療養病床を廃止し、療養病床全体を38万床から15万床にへらすことを急い
でいます。このために、2006年度は介護サービスを受ける人が、2000
年の制度開始以来初めて、10万2800人減少しました。厚労省はさらに各
自治体に「医療費適正化計画」を作らせて、一段と介護給付費の抑制を強めて
います。
以上が2008年4月から実施予定の新しい高齢者医療制度の概要ですが、
その目的は何が何でも医療費を抑制するというところにあります。政府の方針
は「2011年度までに歳出を14,3兆円減らす、そのうち社会保障費は1,
1兆円、毎年2200億円づつ減らす」というものです。介護保険制度、障害
者自立支援法につづく後期高齢者医療制度の創設はその要です。しかし、これ
は高齢者・障害者に大きな犠牲を強いることですから、強い反発を引き起こす
ことは必至です。このままでは総選挙で再び敗北するとみて、政府は、新たに
保険料負担が生じる人からの保険料の徴収を半年間遅らせるとか、自己負担を
1割から2割に引き上げるのを1年間延期するなど、見え透いた手を打ち出し
ましたが、こんなことで国民がだまされるわけがありません。
後期高齢者医療制度は医療・福祉についての国民の権利と国の責務を定めた
憲法第25条や、老人福祉法にも違反しています。そのため政府は「医療・福
祉は自己責任で」とか「高齢者は弱者ではないから、応分の負担を」などと宣
伝する一方、「高齢者・障害者は先も短いし、あまり役に立たないのだから、医
療・福祉もほどほどでよい」と、差別思想をあおっています。このまま黙って
いるわけにはいきません。みんなで立ち上がりましょう。
2007年10月20日
小西レポートより掲載
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